スマホにダウンロード
オンライン音楽配信サービスは、パソコンにダウンロードした楽曲を、アップル「iPhone」などのスマホや携帯音楽プレーヤーに転送して持ち運ぶことも可能だ。スマホに直接ダウンロードすることもできる。CD販売店に行かなくても好きな楽曲がすぐ買える。
アップルiPod
日本では「着うたフル」など携帯電話向けが主流だった。日本レコード協会は「光ファイバーなどブロードバンド(大容量高速通信)の普及も進んでおり、PC向け配信は今後も伸びる」とみている。
オンライン音楽配信サイトでは、米アップルが2005年8月、同社の携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」向けに始めた。当初は「iTunesミュージックストア(iTMS)」という名前だった。5割以上のシェアを占めた。
タワレコのナップスターやHMVジャパン
こうした中、タワーレコード系のナップスターは2006年10月初旬、洋楽を中心に190万曲以上を配信するサイトを開設した。1曲ごとの課金に加え、国内初の月額定額制を本格導入して差別化した。「利用者からの評判も良く、まずは好調な滑り出し」(タワーレコード)だった。
HMVジャパンも2006年10月下旬に配信を開始した。2006年末までに150万曲まで増やした。
CDが売れなくなった
一方、日本レコード協会によると、2006年1~9月のCD生産額は、音楽配信サービスの市場拡大のあおりを受けて、2005年同期比4%減の2468億円と低調だった。
ナップスターなどCD販売店の音楽配信への参入は、CD売り上げの減少を補う狙いもあった。「音楽配信の定額制には、CD購入前の試し聴きの役割もある」(タワーレコード)、「音楽に触れる機会が増えれば、CDを買いたくなる人も増えるはず」(HMV)など、CD販売との相乗効果も期待した。
オリコンは赤字で撤退した
オンライン音楽配信は、生き残り競争が厳しかった。オリコンは2005年3月に開設したPC向け音楽配信サイトが月間約2500万円の赤字だった。2006年11月末で閉鎖した。
オリコンは「アップルには太刀打ちできず、黒字化には時間がかかる」と撤退の理由を説明した。iPodとの連携で利用者を囲い込む「iTMS」の牙城を崩すのは容易ではなかった。